安達太良の帰り道(裏磐梯、会津若松)

冬野由記

2007年06月09日 17:28

 さて、安達太良山行の最終回です。

 前回は、奥岳登山口近くの遊歩道に寄り道して、岳温泉の宿に入ったところまで書きました。
 宿の仲居さんは、この地の育ちです。その仲居さんからうかがったところでは、この地方の小学校では毎年恒例で、全校生徒で安達太良登山をするそうです。それも、一年生からだとか。
 「一年生が一番大変なんですよ」
 それはそうでしょう。大人でも頂上まで歩ききるのはなかなか大変です。六歳かそこらで、これだけの山を、一日で登って降りるのは大変ですよね。
 友人の子供たちの中には、幼いころから大人顔負けの元気で大人の登山に同行してた猛者も居ましたけれど、同じ年頃の子供がみな元気に山登りできるとはいえません。
 「郷土の名山に登る」
 そんな伝統があるのでしょう。また、伝統として確立していなければ、昨今は、親御さんたちもなかなか納得できないかもしれません。私の郷里でも、英彦山登山とか、近隣の山へのマラソンなんていう恒例行事がありました。今もやっているんだろうか。

 さて、二日目。あとは帰宅するだけですが、せっかくなので午前中に少し寄り道をすることにしました。午後から雨だという予報もあったので、比較的近くで、気持ちのよい森林浴のできそうなところ、ということで、裏磐梯の桧原湖に寄ることにしました。

 桧原湖までは小一時間。
 桧原湖東岸には、小さな沼沢が点在していて、そこには湿原や林間を歩けるように「探勝路」が整備されています。

   

 木道を経て林間の小路、やや登って、沼を見下ろす見晴台、湿原のいくつかの沼や森をめぐる一時間程度のルートです。
 昨日歩いた山道や、山中の沢と異なり、湿原特有の豊かな植生とおだやかな空気をのんびりと味わうことができます。同行者は「ジョギングにちょうどいい」と言ってました。たしかに、こういう道を走るのは気持ちのよいものでしょう。
 この二日間で、山登り、トレッキング、沢めぐり、そして湿原の探勝、と結構変化に富んだ歩き方を楽しめたことになります。今回は安達太良と桧原湖でしたが、このあたりには有名な五色沼もあるし、山は、磐梯山、吾妻連邦と手ごろな山がよりどりみどりです。それに、寄り道には会津若松、喜多方、南会津等々、福島の山遊びは何度やっても飽きません。

 桧原湖の探勝路を楽しんだ後は、昼食をとりに会津若松に立ち寄りました。
 この街は、おいしいものもいろいろあるし、街並みも気にいっているので、近くに来たときには必ず立ち寄ります。
 今回はいつものなじみの蕎麦屋さん(すず勘:ここは美味しいお酒をいろいろと置いてある居酒屋的蕎麦屋さんで、しかも、もともと漆器屋さんというお店です。器もよいのです。ただ、今回はお酒はいただけませんでした。運転しますのでね)で蕎麦をたべ、野口英世青春通り沿いの会津壱番館(野口英世が下宿していた家の一階がレトロな喫茶店になっています。ここのエスプレッソは昔風の錫のポットで淹れたもので、ポットで出てきます。アイリッシュコーヒーとならんで、お勧めです)でコーヒーをいただいて帰路につきました。
 会津若松はたびたび訪れているお気に入りの街で、ご紹介したい場所やお店もたくさんあるのですが、それはまた後日、別の記事で。

 これで、今回の山歩き旅行記、お仕舞と相成ります。


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