三輪車

冬野由記

2007年09月23日 00:18

 少し大きくなってから、そう、小学校高学年の頃、幼い従兄弟の三輪車に
「お! ひさしぶり」
 と、またがってこいでみたことがある。

 ― あれ? 変だな。

 と戸惑うくらい、思うようにこげなくて、驚いたおぼえがある。
 何とか前に進むことができたとき、とても力が要って、こんなに重かったかなと首をかしげた。

 よくよく考えてみれば、
 ・車輪が小さい。
  効率が悪いわけだ。
 ・ペダルの長さと車輪の半径にそれほど差はないが、ペダルが当然短い。
  じかに車輪を回す以上の力が要るわけだ。
 ・チェーンがない。
  それなりのペースで進むには、ペダルを猛烈な速さで踏む必要があるわけだ。

 こんなものを、ぐいぐいこぎながら、暴走していたとは。
 子供の脚力はあなどれない。

 そういえば、山に登ったりすると、大人顔負け・・・というよりも、大人をはるかにしのぐペースで山を駆け上る子供をみかけることがある。大人が肩で息をしているのに、彼らは、大きな声で叫びあいながら、はしゃぎながら山を駆け上っているのである。
 そんな子供は、まず、幼稚園くらいかせいぜい小学校低学年だ。
 高学年や中学生になると
「しんどい」「たるい」「つかれた」
 という顔をして、たるそうに登ってくる。

 この急激な体力の衰えは、なんなのだろうか。
 走るのが当たり前で(歩くほうが難しい)、走っても走ってもばてない、息が上がらない。

 ああ、その体力を分けてくれぇ!


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