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冬野由記
冬野由記
標高と緯度の高いところを志向する癖があります。そんなわけで、北国でのアウトドアや旅が好きになってしまいました。
旅の印象を絵にしたり、興が乗れば旅に携帯した笛を吹いたりすることもあります。

2008年01月07日

「地球最後の日」いろいろ

 温暖化の話がたくさん聞こえてくるし、ひしひしと何かがおかしい、という感じが迫ってくるので、ふと、子供の頃に読んだSFを思い出しました。
 ワイリーという作家の『地球最後の日』

 ワイリーは名SF作家で、代表作は
 『闘士』(スーパーマンもののはしりで、かなり彫りの深い名作)
 『消失』(パラレルワールド的な発想がユニークな名作)
 と、この『地球最後の日』です。

 ぼくが読んだのは、ジュニア向けのSFですが、矢野徹氏の訳は、ダイジェストながらかなりしっかりした訳です。
 映画化もされましたが(映画はそんなによいと思わなかった)あらすじはこんな感じです。

 天文学者が地球に近づくふたつの星を発見する。
 天王星ほどの大きさのブロンソン・アルファと、地球ほどのベータ。
 アルファはいったん地球に近づき(このときかなり大きな地殻変動が起きる)太陽の引力で回り込んで、ふたたび地球に近づくときに、地球と衝突して地球を破壊してしまう。
 しかし、この衝撃でアルファは太陽系の外にはじきだされ、ベータがほぼ地球の軌道に乗って、地球に取って代わる。
 調べたところ、ベータの状態は地球に極めて似ている。
 科学者たちは、衝突前にロケットで地球を脱出し、地球に取って代わるベータに移住しようと計画し、実行する。

 科学者たちの警告にもかかわらず、地球の危機を信じようとしない市民や政治家。
 予測発表の翌日、いったん暴落したものの、すぐに持ち直す株価。
 しかし、株も紙幣もやがて紙くず同然になる。
 肉眼で星が見えるようになってくると刹那的になり、変動が始まると暴徒と化す民衆。
 ロケットを使って、やむなく暴徒を撃退(大量殺戮になる)せざるをえない科学者たち。
 他国の技術を信用できず、それぞれのお国振りで成功したり失敗したりする脱出ロケット。

 「怪天体の接近」を「温暖化」に置き換えても通じる感じがします。

 ところで、このジュニア版、というか、当時の少年向けSFにはよくあるのですが、関連する科学知識や、SFの潮流などがていねいに解説されています。そこでは、いろいろなSFで扱われている地球の最後や人類滅亡の可能性などに触れています。
 その中に、『炭酸ガスによる温室効果』が、ちゃあんと書いてありました。
 1969年刊行の子供向けSFの解説としては、かなり慧眼ですね。
 それは、氷河期と間氷期がくりかえされる理由についての仮説として紹介され、さらに、いまのペースで炭酸ガスが増え続けると、遠からず地球の平均気温が3.6度ほど上がり、そうなると極地の氷が溶け、海水面が上昇し、中国やインドの半分が水に沈み、主な都市や産業地域は水没し・・・・と、
 40年も前に、こういうことは言われていたんですね。
 すっかり忘れてました。

 さて、他に紹介されている「人類の最後」について、いちばん印象に残ったものを。
 それはハミルトンの『たそがれに』という作品です。古典と言っていい作品です。

 人類が死滅し、たったひとり生き残った科学者が、廃墟となったかつての都に暮らしている。
 孤独にあきあきした彼は、
 まず、死者に特殊な血液を注入して多くの市民を作り出したが、彼らは結局、平安な死を望んだので、地に返した。
 次に、タイムマシンを作り、過去から人々を導いたが、何らかの理由で彼らの精神は破壊され、都は狂気の街となってしまったので、彼はかれらを皆殺しにせざるをえなくなる。
 最後に、彼は、地殻変動を起こし、地球を太古の状態に戻すことをこころみる。計算どおりなら、やがてたんぱく質が合成され、単細胞生物が生まれ・・・・
 彼は綿密な計算を行い、知的生命体が繁栄するであろう時期を予測し、みずからは永い眠りにつく。
 やがて、科学者が目覚めると・・・
 そこは、かつての都とよく似た廃墟が無言のまま遺されているだけの荒涼たる世界だった。

 どうも、暗い話になってしまいました。

 そうではない、輝ける・・・でなくても、笑顔で思い浮かべることのできるような未来を、夢見たいものです。

 ところで、1969年刊の、この本では
 『地球の30億の人類が・・・』
 というフレーズがあります。
 40年前は、そうです、人類は30億・・・だったのですね。

 またまた、暗い話になりそうなので、この辺で。


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Posted by 冬野由記 at 21:42│Comments(8)徒然なるままに
この記事へのコメント
随分昔、コナン ドイルの「毒ガス帯」(1912)に驚いた事があります。
人類全滅に直面したSFですよね。
Posted by jun1940 at 2008年01月08日 00:05
『地球最後の日』
読んだことはないですが、「地球の危機を信じようとしない市民や政治家」というのに、あれを思い出しました。
藤子・F・不二雄の短編で『大予言』という話をご存じでしょうか?
有名な予言者は世間に報道されている世界の危機を示して、平然としているみんなが、自分たちの滅亡を予言されていながら平気な顔をしている世界人類がこわいと言うのです。

この話も初出は1976年で、もう30年も前のことです。
こんな前から世界の危機は予言されていたというのに、今でも世界は割と平然としています。まぁ、石油ヒーターの前でこれを書いてる私もその平然としている一人ではありますが。

何かしなければ………いけないんでしょうけどねぇ。
Posted by 白湯 at 2008年01月08日 01:01
手塚治虫さんの火の鳥のなかでも、ナメクジを人類になぞらえて描いたシーンがあったと思います。
あれは、まさにいまの人類の状態と同じではないかと・・・。
手塚さんも未来を予言しているような作品をたくさんかいておられますから、何かを表現できる方々にはそういったビジョンが浮かんでくるのか、あるメッセージを受け取るのかもしれませんね。

でも、こういった場合でも。
何かを生み出す力のある人間が生まれていて、歯止めをかけてくれる・・・かもしれません。期待したいです。
Posted by じゃらし at 2008年01月08日 09:01
きゃあ~~。
がらにもなくまじめな事書いて、肝心な事を書き忘れですぅ~。

花束♪(⌒ー⌒)o∠☆:゚*'  おめでとぉ♪

今日はお誕生日ですよね?
Posted by じゃらし at 2008年01月08日 09:07
junjun様

 ヴェルヌやドイル、ウェルズ・・・
 100年前、世界各地で万博が開催され、先進諸国が人類の科学と文明に浮かれていた頃、SF作家という預言者たちが出現し、警鐘を鳴らしていたんですね。
 『毒ガス帯』
 バイオ兵器がとりざたされている現在、ドイルの予言が実際に起こらないことを祈るばかりです。

白湯様

 藤子・F・不二雄は、屈指のSF作家(マンガで)といっていいですよね。
 『大予言』彼のSF短編集にありましたね。
 いずれも秀作ぞろいです。
 何か大きなことではなく・・・誰かが言ってました。
 「まず、足元のゴミを拾うことから始めよう」
 その通りだと思います。

じゃらし様

 まずは、ありがとうございます。
 ついに、○十の峠に到達です。

 手塚治虫も、大変な作家でしたね。
 火の鳥の未来編は、かなり昔にかかれたものですが、うならせますね。
 彼の頃には、世界の滅亡は「戦争」というのが第一でした。
 でも、今は、もっとたくさんの滅亡のシナリオが生まれています。
 滅亡のシナリオは、いくらでもある。
 予言者を越える勢いで、私たちは、そんなシナリオを増やし続けているのですね。

冬野
Posted by 冬野由記 at 2008年01月08日 21:57
人類最後の日は、どういう風にして来るんでしょうね。
SFの世界では、隕石の襲来だとか、温暖化による水没だとか、核戦争だとか・・・
最後の日は、おそらくいつか来るのでしょうが、少なくとも、その時が来る時を少しでも遅らせるように、あがいていきたいものです。
微々たる力ですが・・・
Posted by nyankohime at 2008年01月08日 22:43
nyankohime様

 微々たる力も、1億、10億と集まれば大きな力になりますね。
 ひとりひとりが、できることを心がける。
 それしかないし、それが大事なのでしょう。
 まずは、日々の暮らしの、センスのようなものを磨くことでしょうね。

冬野
Posted by 冬野由記 at 2008年01月09日 20:46
時計コピー
その上現在の腕時計の愛好者の好みによって、この理念はとても多分次の流行です。
時計コピー
Posted by 時計コピー at 2013年08月01日 13:45
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