2009年03月24日
金沢21世紀美術館の印象
先日訪れた「金沢21世紀美術館」の印象を。
まず、驚いたのは、朝から入場券を求める人たちの長蛇の列。昼ごろにもこの列は解消していませんでした。
開館間もない時間帯からずっと、これほど混雑するのは、美術館としては(実のところ)珍しいと思います。たとえば、東京あたりの有名な美術館で、それなりに巨匠・名匠といえるような作家の企画展があっても、受付に長蛇の列ができることはめったにありません。おかげで「美術館を訪れる」という遊びは、静かな休暇を楽しむのにもってこい(・・・デートに最適な場所・・・)ということになります。
ところが、金沢21世紀美術館の発券所は、映画館、劇場、遊園地の雰囲気があります。
どこがふつうの美術館と違うのか・・・
ポイントは、観客参加型ということでしょうか。
コレクションについては、常設展示を拝見したところ、確かに個性的です。インスタレーションが多いし、アニメーション展示もあります。等身大フィギュア、奈良美智の空間など、現代のアートシーンを概観することもできます。
でも、それ以上に、この美術館に活気を与えているのは、たぶん、来場者が参加するアートの面白さでしょうね。遊園地的です。
たとえば、ここの目玉「レアンドロのプール」(先日の記事で紹介)は「観覧者が地上と地下からそれぞれ覗きこむこと」があって初めて成立するアートです。来場者がここで遊ばなければアートとしては成立しません。あの巨大なサッカーゲームも、来場者が遊ばなければただの大きな(それも粗っぽい)模型でしかありません。館外には、ちょっとした遊びが楽しめるもの(遊具に近い)が配置してあります。これらも遊べなければ、あまり珍しくないオブジェにしかなりません。
そして、なんといっても面白いのは「パップ・パトロール(Pup Patrol)」という企画です。企画自体が奈良美智の作品で、来場した子供たちが奈良デザインの犬の着ぐるみを着て(子供たち自身が奈良作品になる)美術館を探検するというプログラムです。来場した子供たち自身がアートの一部になり、かれらが探検する美術館全体が奈良作品になり、そこに居合わせた他の来場者たちも作品の一部を構成することになります。
こういう美術館は、あまりありませんよね。
展示スペースやレイアウトも一般の美術館とはかなり違っています。
展示室が作品個別に分かれていて出入りしにくいところもある上に、通路が案外狭い。ところが、発券所が混雑していた割には、中が混み合っているという感じはあまりしません。来場者は、作品群を閲覧するというよりも、ひとつひとつの作品や作家を「訪問する」という感覚で展示室をめぐることになります。このあたりも愉しい。
また機会があれば「遊びに行きたい」美術館でした。
まず、驚いたのは、朝から入場券を求める人たちの長蛇の列。昼ごろにもこの列は解消していませんでした。
開館間もない時間帯からずっと、これほど混雑するのは、美術館としては(実のところ)珍しいと思います。たとえば、東京あたりの有名な美術館で、それなりに巨匠・名匠といえるような作家の企画展があっても、受付に長蛇の列ができることはめったにありません。おかげで「美術館を訪れる」という遊びは、静かな休暇を楽しむのにもってこい(・・・デートに最適な場所・・・)ということになります。
ところが、金沢21世紀美術館の発券所は、映画館、劇場、遊園地の雰囲気があります。
どこがふつうの美術館と違うのか・・・
ポイントは、観客参加型ということでしょうか。
コレクションについては、常設展示を拝見したところ、確かに個性的です。インスタレーションが多いし、アニメーション展示もあります。等身大フィギュア、奈良美智の空間など、現代のアートシーンを概観することもできます。
でも、それ以上に、この美術館に活気を与えているのは、たぶん、来場者が参加するアートの面白さでしょうね。遊園地的です。
たとえば、ここの目玉「レアンドロのプール」(先日の記事で紹介)は「観覧者が地上と地下からそれぞれ覗きこむこと」があって初めて成立するアートです。来場者がここで遊ばなければアートとしては成立しません。あの巨大なサッカーゲームも、来場者が遊ばなければただの大きな(それも粗っぽい)模型でしかありません。館外には、ちょっとした遊びが楽しめるもの(遊具に近い)が配置してあります。これらも遊べなければ、あまり珍しくないオブジェにしかなりません。
そして、なんといっても面白いのは「パップ・パトロール(Pup Patrol)」という企画です。企画自体が奈良美智の作品で、来場した子供たちが奈良デザインの犬の着ぐるみを着て(子供たち自身が奈良作品になる)美術館を探検するというプログラムです。来場した子供たち自身がアートの一部になり、かれらが探検する美術館全体が奈良作品になり、そこに居合わせた他の来場者たちも作品の一部を構成することになります。
こういう美術館は、あまりありませんよね。
展示スペースやレイアウトも一般の美術館とはかなり違っています。
展示室が作品個別に分かれていて出入りしにくいところもある上に、通路が案外狭い。ところが、発券所が混雑していた割には、中が混み合っているという感じはあまりしません。来場者は、作品群を閲覧するというよりも、ひとつひとつの作品や作家を「訪問する」という感覚で展示室をめぐることになります。このあたりも愉しい。
また機会があれば「遊びに行きたい」美術館でした。
Posted by 冬野由記 at 06:16│Comments(2)
│旅と美味
この記事へのコメント
演劇でも音楽でも一緒参加する演出だと、気がつくと作品に入り込んでいるのですよね。
機会があれば行ってみたいです。
金沢は伝統的な古風〜 って感じですが。
機会があれば行ってみたいです。
金沢は伝統的な古風〜 って感じですが。
Posted by jun1940 at 2009年03月24日 14:35
junjun様
コメントありがとうございます。
参加、というのはエンタテイメントとしてアートを考えるときに大切な要素ですね。
今までの美術館は「さあ、ごらんください」というスタンスが多かったと思います。たとえばお茶席も「参加型」ですよね。お茶もお花も、その「場」に参加しているという意識が、鑑賞の態度も変えてゆくような気がします。
21世紀美術館は、兼六園のすぐ横です。立地も面白いですね。
冬野
コメントありがとうございます。
参加、というのはエンタテイメントとしてアートを考えるときに大切な要素ですね。
今までの美術館は「さあ、ごらんください」というスタンスが多かったと思います。たとえばお茶席も「参加型」ですよね。お茶もお花も、その「場」に参加しているという意識が、鑑賞の態度も変えてゆくような気がします。
21世紀美術館は、兼六園のすぐ横です。立地も面白いですね。
冬野
Posted by 冬野由記 at 2009年03月26日 22:05