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冬野由記
冬野由記
標高と緯度の高いところを志向する癖があります。そんなわけで、北国でのアウトドアや旅が好きになってしまいました。
旅の印象を絵にしたり、興が乗れば旅に携帯した笛を吹いたりすることもあります。

2006年11月22日

モーツァルトのフルート協奏曲

 モーツァルトのフルート協奏曲は、何かと逸話にことかかない。
 第二番が、オーボエ協奏曲のあからさまな焼き直しであることはよく知られている。
 そんな事情もあってか、第一番のほうがフルートのための唯一のオリジナル協奏曲であり、曲も出来がいいと考える考え方もあるが、どうだろうか。
 私は決して上手な笛吹きではないが、吹いてみると二番のほうがはるかにフルート向き、というか木管にしっくりくるのである。
 一番は、音の飛び方やなんかにちょっと困難がある。ただ音が飛んでいるので吹きにくいと言っているわけではなく、音楽的な力の加減(流れに応じて、力をこめたい場所とすぅっと抜きたい箇所がある。そのバランスが笛にとっては自然になれないということ)が、どうも笛向きではないように感じる。今のフルートだからというのでもなさそうである。トラヴェルソではもっと難しいのではないか知らん。特に低音を豊かにしっかりと「ビーン・ビーン」と響かせなければならないとしか思えないところが多すぎる。二番では、低音はアクセントとして適度に配置されているように思う。
 この二曲の協奏曲は注文主からもクレームがついたらしいことが知られている。だから、お金も最初の約束どおりには支払われていない。もしかしたら、一番も何か他の楽器の曲の焼き直しではなかったろうか。現に、一番のほうも、第二楽章アンダンテが難しすぎるとクレームがついて、あの「アンダンテ」が別途作曲されたという話もある。
 だいたい、モーツァルトの曲は、まるでその楽器のためにあつらえたかのようなフィット感というのが身上だし、きちんと音楽的な演奏をするのは難しいかも知れないが、とりあえず演奏するにはとっつきやすいという特性もある。それが、注文主の素人笛吹きから「これじゃ難しすぎて吹けないよ」とクレームがつくのだから、何か変だ。実際、他の人のために書いた「フルートとハープのための協奏曲」は、何と演奏者に対して優しく(易しく)、かつ見事な音楽になっていることか。
 やはり、一番も変だ。
 第一、モーツァルトが「一番はちゃんと書いたが、二曲目は面倒になったのでごまかした」というのはしっくりこない。「あいつにフルートの曲をわざわざ書いてやるのは億劫だ。二曲とも焼き直しで済まそう」のほうがありそうな気がする。 

 一番の楽譜を眺めながら、そして、無謀にも時々それを譜面台にのせて吹いてみたりしながら気づいたことがある。どうも、この一番によく似た感じを持った曲を、他の楽器で聴いたことがある。

 ヴァイオリン協奏曲である。たとえば三番。五番でもいい。どうです? 似てませんか。メロディの作り。音とびの具合。低音の伸びを要求されるそこかしこ。フルート協奏曲第一番の第二楽章など、最初のフレーズの末尾の放ち具合なんか、ヴァイオリンだと自然に抜くことができる。それに第三楽章がアクセントの利いたメヌエット風になっているところなんか。

 で、今の私は、モーツァルトのフルート協奏曲第一番は、ヴァイオリン協奏曲として思いついたものを(注文主を気に入らなかったのかも知れないが)面倒なので、フルート協奏曲ということにして渡したのではないか、と思っているのである。
 どなたか、この曲をヴァイオリンで演ってみてくれないか知らん。この耳で確かめてみたいんですがね。

Copyright (c) 2006 Ando, Tadashi & Fuyuno, Yuki All rights reserved.

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Posted by 冬野由記 at 00:36│Comments(0)音楽
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